Generativity Lab™

次世代に何かを繋ぐ「社会還元共有型」マーケティング™が企業と社会を変える

アマゾン本社が、バナナで作り上げるコミュニティの「場」

シアトルにはアマゾンの本社がありますが、その本社が2015年から一日5000本ものバナナを、ひたすら無料で配り続けている話を知る人は、少ないかもしれません。アマゾンは、なぜそんなことを続けているのでしょうか?

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バナナが繋ぐ、人々が共有できる「場」

アマゾンが現在バナナを配っているのは、本社から至近の人通りが多い2か所。アマゾン以外の企業が多いエリアかつ、近郊には高層マンションもたくさんあるので、そこを通るのはアマゾンの社員とは限りません。

バナナは誰でも、そしていくつでも貰うことができます。配布用には「バナナスタンド」が設置されており、朝7時半から、午後3時半までの間、バリスタおとい「バナスタ」の愛称で呼ばれるスタッフが、ニコニコしながらバナナを貰いにくる人と、会話を楽しんでいる様子はとても印象的です。

 

 2017年には100万本バナナは配給を達成。それを記念した映像もあるので紹介しておきましょう。ちなみに同社は、今後もバナナの継続配給を行うと発表しています。

 

www.youtube.com

 

このアイデアは社長のジェフ・ベソス本人が考えついたことだったようです。バナナスタンドを設置した意図や真意は、公式には発表されていないようですが、同社のこの「場」作りは、市民にはとても好評のようです。知り合いがちょうどこの近所のマンションに住んでいるのですが、彼はこんなことを言っていました。

 

「ひょっとしたら一日コンピュータの前に座って、誰とも話さないで一日が終わることもあったが、バナナスタンドが近所に出来てからは、毎日通うようにしている。そこに行けば誰かと言葉を交わせるからね。自分は一人ではなく、コミュニティと繋がっている感じがして、孤独にならずに済むよ」

 

 彼はフリーでITの仕事をしていており、家庭があるわけではないため、ふと気づくと「独りぼっち」を感じることがあったと言います。世の中を見渡せば、もしかしたら彼のような人は意外と少なくないかもしれません。

 

 次世代を取り巻く環境は、私たちが子供だった時代のそれとは、大きく異なっています。日本も少子高齢化が進み、社会の構造そのものが変わりつつあると思いますが、それに加えてコンピュータやスマートフォンの普及に比例するかのように、人と人とが対面してコミュニケーションを取らなくても、事足りてしまう世の中に変化しつつあると思います。そうした便利な世の中では、以前なら表面化していた問題が見えずに済んでしまうこともあるでしょう。しかし、それは時に危険なことだと思うのです。

 私は、世の中には人と人とが繋がれる「場」は必ず必要だと考えています。日本財団が2018年末に発表したデータにはショッキングな事実を知り、特にそう思うようになりました。そこには、「日本に暮らす18歳から22歳の若者のうち、4人に一人が自殺を本気で考えたことがあり、10人に一人は自殺未遂を経験したことがある」という驚くような調査報告が記されていました。日本における自殺未遂には、いじめや、不登校が強く関連しているといいます。

 

 厚生労働省平成30年度版『自殺白書』を見ると、日本の若者の死因の1位が自殺でることが分かります。無限の可能性が目の前に広がり、夢や希望にあふれるべき若い世代が死を考えるという現実は、とても悲しいものです。問題は根深いとは思いますが、もしかしらら孤独や追いつめられる心を救うのは、誰かとかわす、ほんのちょっとしたコミュニケーションの積み重ねなようにも思います。

 バナナスタンドの例ではありませんが、格式だった「相談所」のような門構えはなく、誰もがそこに集えるような、子供たちの声がコミュニティに届く「場」を位置的に作れたら、もしかしたら日本の若者の自殺未遂数は減ってくれるかもしれません。

 

『BizSeeds』の記事も重ねてご覧ください。

https://bizseeds.net/articles/835